「お」から始まる用語一覧
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押縁下見板張(おしぶちしたみいたばり)
押縁下見板張とは、木造住宅の外壁仕上げの一種で、横張りの下見板の上からさらに細長い木材で押さえて留める方法を指す。細長い当て木を「押縁(おしぶち)」と言う。
下見板張りは、板の端が少しずつかぶさる羽重ねにするため、つなぎ目に凹凸ができ、押縁の下にすき間が出る。上級な仕上げでは、すき間が出ないように下見板が重なる凹凸の形状に合わせて押縁を欠き込んだものを「簓子(ささらこ)」、これを打ち付けた仕上げ方を「簓子下見板張り」と呼ぶ。
押縁を付けないもっともシンプルな下見板張りは、「鎧張り下見」「南京下見」「イギリス下見」など様々な呼称がある。
押縁止め(おしぶちどめ)
押縁止めとは、ガラスやパネルなどの板状部材の周りを、サッシ枠などで押さえ止めることを指す。押さえ止める部材を押縁という。代表的な押縁は縦羽目板の継ぎ目になっている目板や合板などで、木製・金属製・プラスチック製のものもある。施工上では四方(4カ所)押縁止めが望ましいと言われているが、三方押縁・二方押縁・一方押縁などの方法もある。
汚水(おすい)
汚水とは、一般の家庭や事業所・工場などから排出される、汚れた水のことを指す。
具体的には、生活雑排水、水洗便所からのし尿、工場や事業場から排出される工場排水などである。下水道内を流れる水の中で、雨水と区別するのに用いられることが多い。公共の下水道に汚水がそのまま流れていってしまうと、汚水に含まれている有害物質が下水道を傷めてしまい、下水処理場で処理できなくなる場合がある。そのため、下水道法で定められている規定に従い、事業所等では除害施設を設けている。これによって下水道へ排水する前に、汚水に含まれている有害物質を除去している。
汚水排水(おすいはいすい)
汚水排水とは、トイレからのし尿を含んだ排水のことを指す。
各住戸には、汚水を下水道に流すための排水管が設置されている。この排水管の維持や管理に関しては、各々で行う必要がある。排水設備は、接続先となる下水道が合流式と分流式のどちらであるかによって違いがある。合流式は、汚水と雨水を一本の排水管にて下水道に一緒に流す方法である。分流式は、汚水と雨水をそれぞれ汚水管・雨水管に分け下水道に流すもので、この場合は汚水を雨水管に混入させてはいけない。
オスモカラー(おすもからー)
オスモカラーとは、植物油と植物性ワックスで作られた自然塗料を指す。ドイツ大手の木製品メーカーであるオスモ社が制作した塗料で、人体に害のある化学物質やシンナーを含んでおらず、人体に優しい塗料である。主に家具などの木材への塗料に用いられており、合成樹脂を含有した水性塗料と異なり、塗膜を張らないので木材に深く浸透し、木本来の調湿性能や肌触りを活かした仕上がりとなる。また、撥水性が高いので手入れが簡単であり、浸透性塗料のため重ね塗りが可能で、めくれや剥がれが起こりにくい。
オットマン(おっとまん)
オットマンとは、足置きのためのソファを指す。
ソファと組み合わせて、足を伸ばしたり、横になったりとくつろぐことができる。小型のため、自由に持ち運べるので気軽にレイアウトが可能である。1人用のソファやソファに近づけてサイドテーブルとしても使える。近年では、ストレージタイプのオットマンが登場していて、蓋を開けると中が収納になっている。
乙種構造材(おつしゅこうぞうざい)
乙種構造材とは、JAS(日本農林規格)が定める「目視等級区分製材」のうち、主に柱や小屋束など、住宅等の構造物で縦方向に使われる、高い圧縮性能を求められる構造材を指す。一般的に乙種構造材として使われるのは、ヒノキ・スギ・マツなどの針葉樹構造材が多い。
乙種枠組材(おつしゅわくぐみざい)
乙種枠組材とは、構造耐力上主要な部分に用いられる枠組壁工法構造用の枠組み材を指す。JAS規格では甲種枠組材と乙種枠組材に区分され、等級によって基準が定められている。乙種は、床、屋根の枠組材、建物の土台、根太、垂木など高い曲げ性能を要集される製材である甲種以外のものをいい、壁の枠組材によく用いられる。垂直のたて枠が中心だが、上下枠としても使われる。
落とし掛け(おとしかけ)
落とし掛けとは、床の間の天井から垂れる小壁を受け止める横木を指す。
隣接する床脇の長押よりやや高い位置で、鴨井より少し厚めの平角材か丸太、または竹材を用いる。材の種類は、床柱や床框との組み合わせ、座敷の構えとのバランスを考えて選ぶ。正式な書院でヒノキやマツ、キリなどの平角材を使う場合は、正面に向く見付けを柾目、下端は板目(杢)とする。角材を斜めに削り、見付け部分を刀の刃のように薄くする「刀刃(はっかけ)納め」にすることで、軽妙な雰囲気を出す仕様もある。
一説によると、落とし掛けは取り外し自由にしておき、敵が突然侵入した際に落として武器として使ったという。それが言葉の由来とも言われる。
落し掛け(おとしがけ)
落し掛けとは、床の間の上部にある下り小壁を受け止める横木を指す。
桐材、杉材、竹などさまざまな種類の材料が使われている。天井とは平行に部屋の用途や高さを考慮した高さに取り付けられており、一般的に鴨居や座敷の長押よりも上に位置している。また、桐などの木材が用いられる場合、3面とも節がみられない良質なものに限られており、既製品では台形や長方形の断面をしているものが多くみられる。茶室で用いられる落し掛けの一つに刀掛け仕上げと呼ばれるものがある。
おとり広告(おとりこうこく)
おとり広告とは、実際には入居者を募集していないにもかかわらず、客を誘い寄せる目的で掲載している架空の物件広告を指す。
物件が実在しないため、契約することができない架空の物件、物件は存在するものの、契約済の物件や、もとから契約する意思のない物件などを広告として載せるものである。不動産会社への問い合わせを増やして、物件の契約数をあげることを目的としているものがあるが、宅建業法などの法律に違反している。長期間掲載されており、周辺の物件相場と比較してあまりにも条件が良すぎる物件などが、おとり広告として掲載される場合があり、注意が必要である。
踊り場(おどりば)
踊り場とは、階段の途中にある平らなスペースのことを指す。昇降の際の休憩や方向転換、階段から転落した際の被害を緩和する目的がある。デパートなどでは踊り場のスペースを広く設け、休憩のための椅子や化粧室を設置していることが多く、階段で感じる負担を軽減する効果もある。戸建て住宅では、直接階段に比べて少ないスペースで階段を設置することができ、階段下のスペースは収納などに利用されることが多い。踊り場を設置する際には、建築基準法で決められている数値に従い、幅と奥行き、段の高さなどを決める必要がある。
鬼瓦(おにがわら)
鬼瓦とは、和風建築の棟の端などに設置される装飾用の特殊瓦のことを指す。屋根の棟端は古くより神聖な場所とされ、無病息災や家内安全、厄除けなどの願いを込めて鬼瓦が設置されたという。鬼瓦の形状は、鬼の顔を模したものだけでなく、蓮華を現したものや家紋のついたものなど、さまざまな種類が存在する。機能面では、棟の内部に雨水を入れないための蓋や、雨を誘導する雨仕舞いの役目も担っている。
帯筋(おびきん)
帯筋とは、鉄筋コンクリート造の柱の主筋に水平方向に巻き付ける細い鉄筋(せん断補強筋)を指す。主筋の位置を固定して補強することにより、地震時に発生するせん断(面に対して平行方向に力が作用すること)への耐力のほかに、内部のコンクリートを拘束したり、主筋の座屈を防止する効果が望める。
オフグリッド(おふぐりっど)
オフグリッドとは、電力会社の送電網につながっていない状態を指す。風力や太陽光などの自然エネルギーで発電した電力を、電力会社に売電せず、自給することをいう。環境に負担をかけず、電源を確保できるシステムである。または、それ以上を公共事業に依存せず、独立した方法で設計された建物の特徴やその生活様式のことも合わせて言う。
おぼれ谷(おぼれだに)
おぼれ谷とは、地上の浸食でできた谷の低い部分が、地盤沈下や海面上昇で海面下に沈んでできた入り江のことを指す。
地盤沈降や海面上昇、河川の堆積物などが原因で発生する。
海岸そばに山地が迫っている半島と、その間に挟まれたおぼれ谷とが直交して、リアス式海岸などの入り組んだ海岸が形成されやすい。小規模な河川の出口が大きい河川の堆積物でふさがれた場合にも、おぼれ谷を形成することがある。
日本のおぼれ谷は、富山県の庄川に流れこむ富山湾周辺や、入り組んだ地形で知られる長崎県佐世保市周辺、リアス式海岸で知られる三陸海岸など、多くの地域で見られる地形である。
表割れ(おもてわれ)
表割れとは、木材が乾燥する時に発生する割れの種類を指す。表面割れともいう。木材が乾燥するとき、主に乾燥の初期段階に発生する。水分を失った表層部が収縮し、逆に乾燥していない内層部が対立し、表面部が張力に負け表層が割れる現象のことである。特に丸太などの表面の繊維に沿って起こりやすい。割れは繊維と繊維の間に隙間ができた状態なので、割れたとしても繊維を切断・破壊することなく強度は保たれる。
母屋(おもや)
母屋とは、敷地内にある複数の建物の中で生活の中心となる場所のことを指す。平安時代に発達した寝殿造りの中央部を指す言葉であったが、そこから主人が住む建物という意味に転じた。母屋以外の付帯的な建物を指す言葉としては、離れや納屋などがある。また、母屋は「もや」とも読み、その場合は屋根の荷重を支えるための部材のことを指す場合がある。約90mm角の杉が母屋として用いられ、屋根の最も高い位置にある棟木と平行に設置される。
親子扉(おやことびら)
親子扉とは、2枚の幅が異なる扉が観音開きとなるドアを指す。
玄関ドアとして利用されることが多く、大小のドアが親子のようなデザインをしていることから、親子扉と呼ばれるようになった。大きなドアを親扉、小さなドアを子扉と呼ぶ。
通常の出入りには親扉のみを使い、子扉はロックしている場合が多い。子扉を開くと間口が広がるため、大きな荷物の出し入れができ、車椅子を出入りさせることもできるので、バリアフリーの一環として取り入れることもある。
親子門扉(おやこもんぴ)
親子門扉とは、玄関に設えられる門扉のうち、大小幅の違う2枚の扉を組み合わせたタイプの扉を指す。
小さい扉は通常は落とし棒で締め切っておき、大きい方の扉だけを開閉して使用する場合が多い。門扉には他に、開き戸が1枚の「片開き」や、同じ幅の2枚の開き戸で構成し家の正門によくみられる「両開き」などがある。親子門扉はこの中間的な構造であり、間口が取れない玄関であっても、両開きのような格調を感じさせられる。
親子門扉を採用する場合、建物へのアプローチや出入りの動線などを踏まえて左右どちらの開きにするか決めることが必要である。扉の大小の比率を変えたり、クローズ外構に対応できるように高さのあるものにしたり、家の状況や要望に応じて様々なバリエーションがある。