SUMICOCO COLUMN

若者の地方離れの背景と地方創生への道

日本の若者は大学進学や就職などのきっかけで都市へ移住することが多く、その背景には地方と都市部の生活利便性、交通利便性の違いがあります。また、地方の濃密な人間関係と違い、都市部は適度な距離感のある人間関係があり、新しい住民を受け入れやすい雰囲気があります。地方創生では、働く場の重要性が指摘されることが多いのですが、居住満足度と幸福度にも着目すべきでしょう。では、どうすれば地方の魅力を高められるのでしょうか?

1. 地方と都市部の生活環境の違いと若者の選択

日本では、大学進学や就職をきっかけとして、若者が地方を離れて都市部へ移住する傾向が長年にわたり続いています。その背景には生活利便性、交通利便性の違いが挙げられます。また地方と都市部では、商業施設や飲食店のといった施設の密度だけでなく、人間関係の密度にも顕著な違いがあります。都市部では適度な距離感のある人間関係が新しい住民を受け入れやすくする一方で、地方では濃密なコミュニティが移住者だけでなく、地元の若者にも負担となり得ます。こうした環境の違いは、居住満足度に関する研究で明らかにされており、特に新しい住民を受け入れる「親しみやすさ」が居住満足度に及ぼす影響が大きいことが指摘されています。

2. 幸福度を軸とした地方創生の方向性

地方創生の取り組みでは、人口減少問題の解決や地域経済の活性化が目標とされています。しかし、経済的側面だけではなく、居住満足度の向上や、住民の幸福度向上も重要な目標であるべきではないでしょうか。幸福度に関する研究では、家族関係の満足度や健康状態など、個人の内面的な要因が大きく影響していることが明らかにされており、結婚していること、子どもがいること、家族関係が良好であることなどが幸福度にプラスの影響を与えることが指摘されています。また、新しい住民を受け入れる受容性の高い地域の居住満足度は高く、居住満足度の高さも幸福度を向上させることが分かっています。地方創生においても居住満足度や幸福度に着目する必要があるでしょう。

3. 人口増加と親しみやすさの相互作用

地方創生における人口増加は、単なる数の問題ではなく、地域社会における受容性や人間関係を併せて考えるべきです。適度な無関心や適度な距離感のある緩やかな人間関係は、新しい住民を受け入れる土壌を作り出し、それがさらに人口流入を促進するという好循環を生み出す可能性があります。そのためには、新しい住宅の供給や道路などの社会資本の整備など、政策的な支援も必要になってきます。また、地方創生の取り組みは、大都市からのUターンやIターンといった移住に限らず、2拠点居住や観光などを含めた関係人口を増やすことにも焦点を当てるべきでしょう。そのとき、地域住民の総意に基づく街づくりが求められるでしょう。

4. 住みここ編集部ピックアップ

長野県諏訪郡原村

2023街の幸福度全国1位
長野県諏訪郡原村は諏訪盆地の南東に位置し、八ヶ岳高原の麓に広がる自然環境に恵まれた地域です。八ヶ岳山麓の避暑地として、美しい自然を生かした観光業も盛んです。都市部への交通アクセスも発達しており、自動車もしくは鉄道を利用すると東京まで約2時間半、名古屋まで約3時間でアクセスできます。また隣接地域には総合病院もあり、生活圏内に医療体制が整っています。

北海道上川郡東神楽町

2023街の幸福度全国7位
北海道のほぼ中央に位置し、旭川市に隣接するベッドタウンです。道内で5番目に面積の小さい町ですが、平成元年より開始された大規模宅地開発により人口が増加しており、町内には旭川空港があるため道外へのアクセスも便利です。

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