「ひ」から始まる用語一覧
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曳屋(ひきや)
曳屋とは、建築物を解体せずに移動させることを指す。
この手法により多くの歴史的な建築物や文化財が立地を変えて保存されてきたが、一般の住宅で行われることも多い。
例えば、道路拡張のための住宅移動、住宅を残したまま基礎の修理や地盤補強を行う場合、土地に限りがある中での増築や日当たりの改善などで採用される。
なお曳家を行いながら住み続けることも可能なため、リフォームや建て替えを検討する際、仮住まいの費用よりもコストを抑えられる場合があるというメリットもある。
引分猫間障子(ひきわけけねこましょうじ)
引分猫間障子とは、両開きの小障子戸が付いた猫間障子を指す。関東猫間障子とも呼ばれる。障子建具中央に左右に引き開けられる小障子がはめ込まれ、開く大きさは、障子のおよそ半分が開くものから、その名の通り猫が通れるくらいの小さな隙間分だけ開くものまで、様々である。
猫間障子とは、障子の下部に小障子戸付きの小窓を設けたもので、猫が自由に出入りできるように作られたことから名付けられた。小窓部分にガラスをはめ込んだものも多く、その場合猫は通過できない。小障子戸の開閉の仕方により、引分、摺上、片引がある。
引き渡し(ひきわたし)
引き渡しとは、不動産の売買および賃貸借において、一般的には対象となる土地や建物の占有権を相手に渡すことを指す。
売買の場合は、所有権移転登記により引き渡しが担保される。
建物においては、実質的には売主が買主に鍵を渡す行為で引き渡しが行われることが多い。
挽き割類(ひきわりるい)
挽き割類とは、丸太や原木を厚さ7.5cm未満かつ、幅が厚さの4倍未満にのこぎりで切って採材した木材を指す。用途は建築のほか、家具、建具まで多岐にわたる。挽き割類という名称は改正前の製材の日本農林規格にて規定されていた呼称であり、平成8年に廃止されたが、慣習的な区分として現在も使用されている。
挽き割類のうち、断面が正方形になるものを正割、断面が長方形になるものを平割と呼ぶ。
被災市街地復興推進地域(ひさいしがいちふっこうすいしんちいき)
被災市街地復興推進地域とは、大規模な震災をはじめとする災害の被害を受けた市街地として、復興を推進するために定められた地域を指す。被災市街地復興特別処置法に基づき、市町村が指定する地域である。要件を満たし、この地域で建物の新築や改築・増築を行う場合は都道府県知事の許可を受ける必要があり、同時に各自治体が都市計画の決定や区画整理を行わなければならないことが定められている。
庇(ひさし)
庇とは、玄関ポーチ、窓、バルコニーなどの上部に建物の壁面から突き出す形で設けられた片流れの屋根状の覆いのことを指す。雨や雪から人や室内が濡れるのを防ぎ、直射日光を遮り室内に置いてあるものの日焼けや劣化を防ぐほか、遮光、断熱効果によって室内の温度の変化を抑え節電の効果をもつ。庇の材質は主に、和風建築の家に多く用いられる木製のもの、現代的な家によく用いられる耐久性に優れ軽量であるアルミニウムやガルバリウム鋼板といった金属製のものなどがある。
非常口(ひじょうぐち)
非常口とは、災害や事故などの非常事態が発生したときに、建物や乗り物の中にいる人が避難するための出入り口を指す。普段使用する正面玄関なども非常口に指定されることがある。日本の消防法では避難口と呼ばれる。非常口の設置場所や数、大きさなどは、建築基準法で定められている。
非常灯(ひじょうとう)
非常灯とは、火災により停電が発生した際に速やかに避難できるように室内や廊下を照らす防災用電灯を指す。また消防隊が救助作業を行うために必要な照明確保としての意味もある。
建築基準法では劇場・病院・ホテル・百貨店などのほか、3階建て以上で延床面積500m2以上または延床面積1,000m2以上の建物などに設置が義務付けられており、1ルクス以上の照度を30分以上点灯し続けられる器具であることと定められている。
種類は専用型・組込型・併用型の3種類がある。
専用型は停電時のみ点灯するもの、組込型は非常用と普段用の2つの光源を持つもの、併用型は普段は通常電源で点灯し、停電時には蓄電池で点灯する。
非常用エレベーター(ひじょうようえれべーたー)
非常用エレベーターとは、火災などの非常時に消防隊が救出作業や消火をするときに使うことを想定したエレベーターを指す。
平常時には一般的な荷物、乗用エレベーターとして利用することができる。高さ31m以上の建築物には、非常用エレベーターの設置が建築基準法により定められており、ドアが開いた状態でも運転できたり、呼び戻しボタンが設置されていたり、サイズなども規定されている。また、救出活動時に安全なところまで速やかに逃げられるよう、非常用エレベーターと屋外への出入り口の距離は、30m以内と設置基準が設けられている。
非常用照明(ひじょうようしょうめい)
非常用照明とは、通路や居室で避難に必要な一定の照度を確保するための防災設備を指す。電池内蔵型と電源別置型の2種類に大別され、電源供給が断たれても使用可能な構造となっている。非常用照明はミニ電球やハロゲン電球、蛍光灯、近年ではLEDも光源として使用されており、30分間非常点灯した後で床面の水平面照度が1ルクス(蛍光灯・LEDの場合は2ルクス)以上と規定されている。設置義務のある建築物は建築基準法によって定められている。類似設備として誘導灯が存在するが、これは消防法に定められた避難する方向を示すための設備を指し、非常用照明とは用途が異なるため、誘導灯を非常用照明の代替設備とすることは認められていない。
非常用照明器具(ひじょうようしょうめいきぐ)
非常用照明器具とは、避難経路や非常時用の照明器具のことを指す。非常灯と呼ばれる場合もある。
火災や地震などで停電が起きた場合、人々が周囲の状況や避難方向が把握できずパニック状態に陥らないように避難経路を一定の明るさで照らす役割を持っている。
非常用照明器具は、電池内蔵型と電源別置型の2種類に分けられる。
電池内蔵型は、器具本体に蓄電池が組み込まれており、万が一配線が切断された場合でも、自動点灯が可能である。
電源別置型は、器具の外部に蓄電池設備を必要とし、停電を検知すると予備電源に自動的に切り替わり点灯する。
非常用照明器具の交換時期としては、器具本体は電池内蔵型・電源別置型ともに8~10年となっている。蓄電池は4~6年である。
非線引き(ひせんびき)
非線引きとは、都市計画区域において、市街化区域・市街調整区域に区分されていないことを指す。市街化区域・市街化調整区域に分けることを区域区分または線引きといい、それがなされていない区域を一般的に非線引き区域という。
非線引き区域は、市街化区域や市街調整区域に比べると規制が緩いとされているが、用途地域や地域地区を定めることはできる。かつては未線引き区域とも呼ばれていたが、2000年の都市計画法改正により、その呼称は廃止された。
非耐力壁(ひたいりょくへき)
非耐力壁とは、建物を支えるために構造上重要な耐力壁以外の壁を指す。
マンションで現場打ちコンクリートの構造の場合、耐力壁も非耐力壁もともに鉄筋コンクリート造のため区別しにくいが、耐力壁は開口部がないか、ごく小さな窓しかない。非耐力壁の場合は大きな開口部が開いているケースがあり、そのうち窓周りの垂れ壁(梁から下がっている壁)、腰壁(床から窓までの壁)、袖壁(柱から窓までの壁)を「雑壁」と言う。また、マンションの隣戸との間にある戸境壁は一般に耐力壁であり、室内にある間仕切り壁が非耐力壁になる。単に「内壁」とも言う。構造表示が鉄筋コンクリート造のマンションでも、一部の非耐力壁に、軽量気泡コンクリート(ALC版)の乾式壁を使っているケースもある。
また非耐力壁には、柱に損傷を与えないために耐震スリットが入っている。
被担保債権(ひたんぽさいけん)
被担保債権とは、担保物権によって担保される債権を指す。
例えば、銀行から住宅ローンを借りる場合、債権者である銀行は、債務者である借りた人の返済が滞るなど、債務を果たさない場合に備え、住宅の土地、建物を担保とし、抵当権を設定するのが一般的である。この場合、抵当権で保証される債権である住宅ローンが被担保債権にあたる。
筆界特定制度(ひっかいとくていせいど)
筆界特定制度とは、現地における土地の筆界の位置を特定する制度を指す。筆界による争いや裁判を避けるために導入された。
土地所有者などからの申請に基づいて行われる。法務局または地方法務局の筆界特定登記官が、民間の専門家から任命された筆界調査員の調査や意見を踏まえ、様々な事情を考慮して、筆界特定を行う。申請人や関係人は、筆界特定が行われる前に、筆界特定官に対して意見を述べたり、資料を提出したりすることができる。
筆界は、土地の所有者同士の合意によって変更することはできない。また、所有権の境界と一致しないこともある。
引掛形コンセント(ひっかけがたこんせんと)
引掛形コンセントとは、抜け止め形コンセントと同じように、差し込んだプラグを回転して固定させるが、差し込むプラグ側も引掛型専用のプラグが必要となるコンセントのことを指す。プラグを抜く場合は、プラグを反対方向に回転させてから引っ張って抜く。壁面内などに設置したボックスに収納してプラグへと電源を供給する埋込コンセントや、壁面内などの表面に対してフラットに取り付けることができ、高容量の電源を供給できるフランジコンセントなどの種類があるが、一般家庭などではほとんど使用されず、産業用の機器などでよく使用されている。
引掛け工法(ひっかけこうほう)
引掛け工法とは、外壁専用の接着剤を使って、タイルを引掛けて貼っていく壁タイルの施工方法を指す。
乾燥工法という施工の一つで、工場で生産された乾燥工法用のパネルの凸部に、セラミックタイルの裏面にある凹部を引掛けていく方法である。
セラミックタイルを引掛けたあと、接着剤で固定していく。仕上がりが均一なうえ、水を使った材料は使わないため、乾燥する手間が省けて短期間で作業が済むなどのメリットがある。
引掛桟葺き工法(ひっかけさんぶきこうほう)
引掛桟葺き工法とは、屋根仕上げの1つで、裏側にある爪(突起)があるタイプの和瓦を使い、下地に留め付けた桟木(瓦桟)に、その爪を引っ掛けて緊結用の釘で固定する工法を指す。「引掛け桟瓦工法」とも言う。
本瓦葺などの土で葺く方式に比べて屋根全体の重量も軽くなり、耐震性も高い。ただ、従来の施工法では、瓦を縦横1枚おきに釘で固定する「ちどり緊結」も多く、地震や台風で落下する例も見られた。瓦関連業界団体が2001年に出したガイドラインでは、引掛桟葺き工法を標準工法の1つとして取り上げ、構造部材への全数緊結などを推奨している。このガイドライン工法は任意だったが、国土交通省の法令(昭和46年建設省告示第109号)改正により、2022年1月1日から義務付けられることになった。
引掛シーリング(ひっかけしーりんぐ)
引掛シーリングとは、照明器具を天井に取り付けるための電源ソケットおよびプラグを指す。電源ソケット部分を引掛シーリングボディ、照明器具側の端子を引掛シーリングキャップという。ボディ側に空いた穴にキャップ側の端子を差し込み、指定方向にひねることで両者が引っ掛かり固定・接続される。接続されると電気が供給される仕組みになっている。一度固定・接続すると、規定重量までの荷重には他の支持器具がなくても耐えることができる。シーリングライトの他に、シャンデリアやペンダントライトといった吊り照明の取付けに使用する。
引越し(ひっこし)
引越しとは、住居や事業所を他の場所への移動させることを指す。
近場や単身であれば、荷物や家具を積載できる車をレンタルし、自分で新居に運ぶことも少なくない。新居まで距離がある場合や家族の人数が多い場合は、引越し業者に依頼することが一般的となっている。
また、引越しでは荷物の移動だけでなく、自治体への転出届と転入届の提出が必須で、ほかにも電気・ガス・水道・通信回線の移転手続き、運転免許や保険、郵便局、各種支払先への住所変更届が必要である。