「と」から始まる用語一覧
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床框(とこがまち)
床框とは、床の間を座敷の畳面から一段高くする場合に横に渡した化粧材を指す。「床縁」とも言う。床畳や床板の端を隠す役割もある。
床の間の様式によって材質や仕上げ方が異なる。正式な「真」の床の間ではヒノキの面取り材の黒漆塗りが多い。素地の框を用いる場合は、コクタン、シタン、カリンなどの堅木を使う。少しくだけた「行」の床の間では角に丸みを持つ面皮材(ケヤキなど)で生地の木目を活かす透かし塗り、草庵小間の茶室には原木の曲面を残すスギ磨き丸太などが採用される。床框の上端の幅は、床柱(本柱)の10分の8程度に納めるのが一般的である。
トコジラミ(とこじらみ)
トコジラミとは、カメムシの仲間で、体色が赤や茶褐色をした吸血性の虫を指す。体長は5~8mm程度だが、吸血すると体長が約1.5倍に膨らむのが特徴である。
夜行性で夜に活発に動き、刺された場合には赤く腫れて発疹が現れ、強い痒みや痛み、ときには発熱を伴う。
日本では1960年代にトコジラミの被害が発生していたが、1970年代には治まっていた。しかし、2000年代になってから海外渡航者の持ち物と一緒に日本にも運ばれたため、今や全国どこにでも生息している。家の中では柱や壁、ベッドの隙間やカーテンレールなど見えにくい場所を好んで潜伏している。吸血した分は糞として体外に排出されるため、黒褐色の点として残る。
床の間(とこのま)
床の間とは、和室の正面奥に作られた、掛け軸や置物、花瓶などを配置する装飾空間を指す。
鎌倉・室町時代の書院建築から発達した座敷飾りの1つで、正式名称は床(とこ)で、床の間は俗称である。広さはおおよそ半畳から1畳ほどで、床柱や床框、床板など、複数のセクションが集まって構成されている。古くはその家の力や権力を象徴する空間として作られ、客室の上座に当たる場所に床を1段高く設けられている。昔ながらの日本家屋では、今でも床の間を見ることができるが、現代の都市部では一般的な住居で床の間を設けるケースは減少している。
床の間畳(とこのまたたみ)
床の間畳とは、床の間の床に敷く畳を指す。
床の間の床は、板で設える場合と畳を敷く場合がある。床の間に使われる畳表としては、あらかじめ焼いてある「龍びん」がある。焼いて仕上げた畳を使うのは、通常の青い畳だと、生け花や壺などを置いた場所だけ日焼けせず、他の部分と色ムラができてしまうためである。
床の間畳の縁には、寺院でも使われる紋縁(もんべり)がよく使われる。紋縁とは、家紋のような紋を織り出して作った縁であるが、家紋縁とは異なる。
床柱(とこばしら)
床柱とは、床の間と床脇の間にある一番太く目立つ化粧柱を指す。
古くは床柱と反対側の柱の相手柱の2本を一対として扱っていたが、近年は床柱1本だけを置くようになった。柱としての役割よりも、床の間を飾るための柱として使われており、座敷にある他の柱とは異なる樹種や形の柱が選ばれる。和室で目をひく柱となるため、材質や木目などこだわったものを使用することが多い。
床脇(とこわき)
床脇とは、床の間の脇に設けられた装飾スペースを指す。棚板2枚を段違いに組み合わせた違い棚、地面に接するように設置された襖のような地袋、天井に接するように造られた天袋、地袋の床板である地板といった各要素から構成される。
床脇には、天袋および地袋のないタイプや、違い棚ではなく通り棚や釣り棚を採用するタイプなど、さまざまなバリエーションがある。組み合わせ方や大きさ、形の違いによって多彩な表現が可能で、床脇全体の意匠が無数に存在するのが大きな魅力である。
都市ガス(としがす)
都市ガスとは、都市部で主に利用されているガスを指す。
ガス管が市街地の道路の下に張り巡らされていて、各家庭や施設などにガスを供給している。都市ガスの原料には、メタンを主成分とする天然ガスや液化天然ガスが使われている。都市ガスは熱量により7つのグループに分類されるが、日本では一般的には13Aが使用されており、ガスの種類に合ったガス機器の使用が必要である。
2017年の市場の自由化に伴い、価格は各会社で自由に設定されている。
都市居住再生融資制度(としきょじゅうさいせいゆうしせいど)
都市居住再生融資制度とは、住宅金融公庫(現・住宅金融支援機構)が2000年に創設した融資制度を指す。
健全で合理的な土地利用や居住環境改善のための住宅等の共同建て替えなど、まちづくりを支援する制度である。同制度では、住宅金融公庫の設定した地域要件、事業要件、建築物要件、全てを満たす場合に、総事業費の概ね80%の融資が受けられる。適用金利は基準金利、償還期間は最長35年で、融資対象も調査設計費など初動期にかかる資金から、建設、購入にかかる費用まで幅広くカバーしているのが特徴である。
都市計画区域(としけいかくくいき)
都市計画区域とは、市または町村の中心部を含み、一体的に整備・開発・保全する必要がある区域のことを指す。この地域は、原則として都道府県が指定する。指定の要件は、都市計画法第5条第1項第2項に基づき、次の2種類に分類される。まず、市または一定要件を満たす町村の中心市街地を含み、自然条件、社会的条件等を勘案して一体の都市として総合的に整備開発保全する必要がある場合である。次に、新たに住居都市、工業都市その他都市として開発保全する必要がある区域である。指定されると、さまざまな都市計画が決定され、市街地開発事業や都市施設の整備事業が施行される。
都市計画道路(としけいかくどうろ)
都市計画道路とは、地方自治体により決定された都市計画における道路を指す。現時点で着工していない予定地も都市計画道路に含まれる。
都市計画道路の計画区域内で建築物の建築を行う場合には、都市計画法の規定による許可が必要である。許可基準としては、建物の高さや主要構造部の建築材料について制限があり、かつ容易に移転・除却することができるもの、としている。都市計画道路にかかる土地の譲渡は事前に許可が必要な場合もある。
都市計画法(としけいかくほう)
都市計画法とは、「都市計画の内容及びその決定手続、都市計画制限、都市計画事業その他都市計画に関し必要な事項を定めることにより、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もつて国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とする」(都市計画法第1条)法律を指す。
同法では「都市計画」を、「都市の健全な発展と秩序ある整備を図るための1)土地利用 2)都市施設の整備 3)市街地開発事業に関する計画」とし、それぞれについての内容と制限を定めている。
都市再生緊急整備地域(としさいせいきんきゅうせいびちいき)
都市再生緊急整備地域とは、都市再生の拠点として都市計画や金融の諸施策などの都市開発事業を通じて、緊急かつ重点的に市街地の整備を推進すべく、政令で指定されている地域を指す。この地域においては、土地利用規制の緩和や、都市計画の提案、事業認可等の手続期間の短縮、民間プロジェクトに対する金融支援や税制措置を受けるための国土交通大臣の認定等の特別な措置が受けることが可能になる。
都市再生住宅(としさいせいじゅうたく)
都市再生住宅とは、市街地の再開発やマンションの建て替えなどの都市再生事業により、もともとそこに住んでいた住人が移動しなければならなくなったときに、転居先として用意される住宅を指す。都市再生住宅には、公共建設型都市再生住宅と民間建設型都市再生住宅がある。公共建設型の場合は、地方公共団体が住宅を建設し、賃貸物件として貸し出すか、分譲住宅として供給する。民間建設型都市再生住宅の場合は、民間の事業者が住宅を供給する。供給の方法としては、民間建設・管理方式、民間住宅借上方式、直接建設方式などがある。また、都市再生住宅の入居者は、家賃の補助を受けられる場合があり、補助を受けられる要件の例としては、所得要件と世帯要件がある。
都市再生特別地区(としさいせいとくべつちく)
都市再生特別地区とは、都市再生特別措置法によって創設された都市計画法による地域地区を指す。都市再生緊急整備地域内で、都市の再生に貢献し、合理的かつ健全な高度利用を図る必要がある地域が、認定される。都道府県の都市計画の手続きによるものや、都市開発事業者による提案によってエリアの決定がなされる。都市再生特別地区に指定されたら、具体的には用途規制の特例が必要とされる場合のみ、容積率の最高限度の400%以上、また最低限度や建ぺい率の最高限度、壁面の位置の制限等を規定する一方で、都市計画による用途制限、容積率制限や斜線制限、高度地区の高さ制限、日影規制などについての適用を除外することができる。
都市再生法(としさいせいほう)
都市再生法とは、情報化、少子高齢化等、急速に変化する社会情勢に対応するため、都市機能の高度化、居住環境の向上推進を目的に2002年に制定された法律を指す。
都市再生特別措置法が正式名称である。同法では主に都市再生緊急整備地域の指定、民間都市再生事業計画の認定・支援、都市計画の特例創設、交付金の交付などについて定めている。
都市低炭素化促進法(としていたんそかそくしんほう)
都市低炭素化促進法とは、社会活動等によって排出される二酸化炭素の大部分が都市から排出されている状況を改善するため、2012年に制定された法律を指す。
都市の低炭素化を促進し、都市の健全な発展に寄与することが主目的である。同法では都市の低炭素化を、都市における社会経済活動その他の活動に伴って発生する二酸化炭素の排出を抑制し、並びにその吸収作用を保全し、及び強化することと定義し、低炭素化に向けた対策を講じることを国及び市町村に義務付けている。
都市緑地法(としりょくちほう)
都市緑地法とは、都市において緑地を保全するとともに緑化を推進することにより良好な都市環境の形成を図り、健康で文化的な都市生活の確保に寄与することを目的として制定された法律を指す。
この法律には、都市における緑地の保全及び緑化の推進に関する制度等が定められている。
塗装コンクリート(とそうこんくりーと)
塗装コンクリートとは、建築分野では、外装仕上げせず、無色の塗装だけを施した打ち放しコンクリートを指す。
コンクリートがむき出しに見えるが、防水のための撥水剤を塗布してある。5~10年程度で、雨や大気中の炭酸ガスの影響で撥水剤の効果がなくなり、表面が黒ずんで汚れてくる。さらに、ひび割れが生じ、もともとアルカリ性だったコンクリートが中性化して中の鉄筋が錆びやすくなる。
この劣化を防ぐために、再度、撥水剤を塗り直す。劣化が激しい場合は、下地を補修した上で、アルカリ性を回復して中性化を防ぐ改質剤を塗るのが望ましい。無色透明なため「クリヤー剤」と呼ぶ。表面を被服する通常の塗料とは異なり、コンクリートに浸透して、クラック抑止や白華現象防止などの複合的機能を持つことから「表面含侵剤」とも言う。コンクリートの素材感、美観を回復するには、改質後に打ち放しコンクリート風塗装を行う。
塗装合板(とそうごうはん)
塗装合板とは、特殊加工化粧合板の1種で、あらかじめ合板の製造工程で塗装やワックス処理された合板を指す。現場でのコーティング作業を省いてすぐに使用できるため、「プレフィニッシュ合板」とも言う。
塗装の仕上がりも均一で品質も安定している。たとえば天然オイル塗装では内部まで浸透し、表面はワックス処理で保護されているため、耐久性も高い。日本農林規格(JAS)では透明塗装と無透明塗装、プリント合板に分類されている。透明塗装でも、木目を生かす素地着色や目地止め着色などの下地処理が行われた上でクリア塗料が用いられるのが一般的である。用途は内装材や家具が多い。塗装コンクリート型枠用合板も塗装合板の1種といえる。
塗装仕上げ(とそうしあげ)
塗装仕上げとは、建物の内装や外装、家具などの表面に塗り物を施して仕上げる方法を指す。
左官職人がコテを使って模様をつける方法のほかに、液体である塗料をローラーや刷毛などで塗る方法もある。
内装の塗装仕上げは無塗装よりも表面が滑らかになるため、トゲによるケガの心配がなくなり、防水や防臭・防カビなどの効果もある。外壁の塗装仕上げは、吹付工法、コテ工法、ローラー工法と3種類あり、塗装の工法によって仕上げの種類は異なる。また壁の材質によって塗料や工法を選択することが大切である。