「た」から始まる用語一覧
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耐震(たいしん)
耐震とは、建物自体の強度で地震の揺れに耐えることを指す。大規模地震発生時に建物内にいる人が無事に避難できるように、建物の倒壊防止目指す。近年はほとんどの住宅でなんらかの制震工法が採用されている。
具体的には、設計段階から耐震設計を採用するほか、建物に耐力壁など強度に優れた建材を使用して耐震構造を作り上げる、すでに完成した建物に対しては筋かいや補強金物等を用いて耐震補強を行うなど、水平方向の揺れに対して耐えられる構造躯体を作り上げることである。
耐震改修促進法(たいしんかいしゅうそくしんほう)
耐震改修促進法とは、建築物の耐震化を促進する法律を指す。1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災で、新耐震基準を満たさない古い木造建築物の倒壊が相次ぎ、多くの犠牲者を出したことをきっかけに、主に建築物の安全性を向上させること、地震をはじめとした災害による建築物の倒壊被害から国民の生命、身体、財産を守り、公共の福祉を確保することを目的に1995年12月25日に制定された。
2006年には改正耐震改修促進法が施行され、耐震診断や耐震改修工事のさらなる推進のため、各都道府県に数値目標を定めた計画作成・報告が義務付けられている。
耐震基準適合証明書(たいしんきじゅんてきごうしょうめいしょ)
耐震基準適合証明書とは、住宅などの建物の耐震性が建築基準法で定められた基準を満たしていることを証明する書類を指す。住宅ローン控除や各種減税措置などを受けるために必要になる。
取得するためには床面積が50m2以上で、床面積の2分の1以上が自己居住用であることや、中古住宅の場合は木造・非耐火建築物なら築20年以内、マンション・耐火建築物なら築25年以内などの要件がある。
耐震偽装(たいしんぎそう)
耐震偽装とは、地震に対する建物の安全性を記した構造計算書を偽造する、建築基準法に違反する行為を指す。
建築設計事務所の元一級建築士が、ホテルや分譲マンションなど合わせて6棟の、地震などに対する安全性の計算を記した構造計算書を偽造していたことが明るみに出た2005年の11月の事件が発端で世間に広く知られるようになった。耐震強度が建築基準法で定められた指針値の半分に満たない物件もあり、社会問題となった。この事件に関わった元建築士や建設会社社長、不動産開発業者社長など数名が逮捕・起訴され、有罪判決を受けている。この耐震偽装問題を契機に、2006年の6月に建築基準法や建築士法、宅地建物取引業法および建設業法が改正され、一定高さ以上等の建築物への構造計算審査の義務付けや、違反を行った建築士に対する罰則の大幅な強化などが図られた。
耐震工事(たいしんこうじ)
耐震工事とは、建築物を地震の揺れに耐えられる造りにして倒壊を防ぐために行う工事のことを指す。
1950年に建築基準法によって定められた建築物に必要な最低限の耐震基準が見直され、1981年制定の新耐震が基準となった。これは震度6強~7程度の揺れに耐えられる構造を基準としている。これ以前の建築物は耐震診断・耐震改修を求められている。また大きな地震でダメージを受けた事がある建築物も、目には見えない建物内部がダメージを受けている可能性があるため注意が必要とされる。さらに木造住宅も地震による影響を受けやすく耐震工事が必要となるケースが多い。
耐震構造(たいしんこうぞう)
耐震構造とは、建物を支える構造部分の強度を高め、地震や強風などの揺れに耐えられるように設計された構造を指す。
柱、梁、壁を効率的に配置したり、柱と柱の間に筋交いを施したりすることで建物自体の強度を高める。
建築基準法では一定の耐震性能を保つために、地盤に応じた基礎を選ぶことや、耐力壁の配置、構造材を接合する金物を指定している。
耐震シェルター(たいしんしぇるたー)
耐震シェルターとは、元ある住宅内の一部に木材や鉄骨で作られた、強固な箱型の空間を指す。
大きな地震の際にシェルター内の人や物の安全を確保するために設置される。
一般に、耐震シェルターは、既存の家屋の中に住みながら、1~2週間程度で作ることができる。耐震シェルターには、ベッド型と部屋型がある。ベッド型は、半日で設置が完了し、しっかりと身の安全も確保できる。部屋型は、元ある住宅の中で一室丸ごと工事して補強し、シェルターにするものである。
耐震性能(たいしんせいのう)
耐震性能とは、建築基準法において、建物が地震や台風、積雪荷重などの様々な原因から起こる揺れを吸収して建築物の倒壊などを防ぐため、当該建築物の耐震壁や間仕切り壁・外壁・柱・床・梁などに必要とされる性能を指す。耐震性能を表す基準には、建物の品質確保の促進等に関する法律で定める耐震等級があり、この耐震等級は1~3の基準に分かれている。
耐震等級(たいしんとうきゅう)
耐震等級とは、住宅性能表示制度および耐震診断により、地震や台風、津波や積雪荷重などの様々な原因から起こる揺れに対して、どの程度抵抗できるかを示す等級を指す。この耐震等級は住宅品質確保促進法に沿って制定されている。耐震等級には1~3の基準が設けられており、この指標は建築基準法によって定められた、建物に備わるべき最低限の基準であるとされている。
耐震扉(たいしんとびら)
耐震扉とは、大きな地震によって扉の枠がゆがむことでドアが開かなくなることを防ぐために対策した扉を指す。大きな地震が起きて建物が歪むと、一般的な扉は扉とドア枠にすき間がないため、ドア枠に相当な力がかかって歪み、扉が枠に干渉して開かなくなってしまう。耐震扉は、扉とドア枠に十分なスペースを確保することで、水平・垂直方向に力が加わっても、ドアが枠に接触しないように設計されているため、扉が歪んでもドア枠に引っかからなければ、開閉できるようになっている。また、耐震扉には内部にスプリングが入った耐震蝶番が採用されており、歪んでしまった分を受け止める遊びを作る。
耐震壁(たいしんへき)
耐震壁とは、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)や鉄筋コンクリート造(RC造)などの建築物において、4面を柱または梁で囲み、地震による揺れに抵抗できるよう設計された壁を指す。建築基準法においては、構造に関係なく、「耐力壁」という用語で統一されている。鉄筋コンクリート造のマンションには、梁・柱で建物を支える「ラーメン構造」、耐震壁で建物を支える「壁式構造」などがあるが、それぞれの構造をミックスした「耐震壁(耐力)付きラーメン構造」という構造形式も存在する。
耐震ポール(たいしんぽーる)
耐震ポールとは、建物外側の地面と梁をつなぎ耐震性を高めるための鋼製のポールを指す。
具体的には、木造住宅などの外側の地中に角型鋼製ポールを埋め込みコンクリートで固め、ポール頂部を2階の胴差しや梁に固定して建物全体を補強する。
また耐震ポールは、地震の揺れによる家具や家電などの転倒防止に使用される棒状の耐震器具を指す場合もある。ほとんどの種類が伸縮式になっており、棒の両端に天井や家具を固定するベースがついていて、家具と天井の間につっぱらせることで強い揺れが起きた際も転倒を防止する。
耐震補強三角火打金物(たいしんほきょうさんかくひうちかなもの)
耐震補強三角火打金物とは、木造住宅内の窓や出入口の腰壁や垂れ壁に対して取り付ける、耐震補強用の三角形の金物を指す。
開口部によって壁一面に筋交いや構造用合板を取り付けることができない際に、構造用合板と三角火打金物を取り付けることによって、耐力壁につくり変えることができ、耐震性を実現することができる。
耐震補強三角火打金物は、日本の伝統工法である火打ち梁から派生したもので、火打ち梁の弱点を補いながら木造建築を強固な構造にする金物として使用されており、現在は火打ち梁の代用品、方杖(ほうづえ)の代用品としても活用されている。
耐震ラッチ(たいしんらっち)
耐震ラッチとは、地震の際、扉が開かないようにする器具を指す。地震の揺れを感知すると扉をロックして、食器棚やタンスなどから収納物が飛び出すことを防ぐ。ある一定の震度以上になると、自動的にストッパーがかかるタイプや、扉を開けたいときにストッパーを外すようになっている、常時ロックタイプなどがある。食器戸棚やキッチンの吊り戸棚のように、落下すると割れるおそれがある食器を収納する家具や、地震時に物が落ちてケガをする危険性がある、高い位置にある収納の扉に取り付けられる。
耐震ラッチ吊戸棚(たいしんらっちつりとだな)
耐震ラッチ吊戸棚とは、地震の際、戸棚の扉が勝手に開かないよう防ぐための留め具付き吊戸棚を指す。ラッチとはドアや門などの掛け金、閂(かんぬき)を意味し、耐震ラッチには一定以上の強さで揺れたときに、自動的にロックがかかる機能が付いている。また吊戸棚とは壁の上部や天井に直接取り付けられた、空間の上部をうまく活用した収納棚のことで、キッチンのシンク上部などに設置されていることが多い。耐震ラッチが付いていることで、地震等の揺れによって戸が開き、内部のものが落下するのを防ぐ。吊戸棚の形状に合わせて、開き戸用や引き戸用、扉の取手につけるタイプや扉の内側につけるタイプなど形や大きさ、取り付け方も様々なものがある。耐震ラッチを既存の吊戸棚に後付けすることも可能である。
耐積雪等級(たいせきせつとうきゅう)
耐積雪等級とは、積雪に対して住宅の崩壊・損傷のしにくさを表した等級を指す。
耐積雪等級は、多雪区域のみでの指標である。多雪区域とは、建築基準法で定められている、垂直積雪量が1m以上の地域である。
耐積雪等級は1と2の段階が設けられている。耐積雪等級1は稀に発生するような積雪に対して、構造躯体が損傷しないことが基準とされている。耐積雪等級2は稀に発生する積雪の1.2倍の力がかかっても、構造躯体が損傷しないことが条件である。
耐雪屋根(たいせつやね)
耐雪屋根とは、主に豪雪地帯において積雪の重さ耐えられるように十分な強度を設けて施工された屋根を指す。
屋根に融雪装置を取り付けた融雪屋根と比べると、想定内の積雪で済んだ場合はランニングコストがかからず経済的である。しかし、屋根に想定以上の積雪があった場合は、危険な落雪の恐れがあるほか、建物の周囲にスペースがないと他人の土地に雪を落とすだけでなく、隣接する建物に損害を与える恐れもある。雪下ろしで落雪を避けることもできるが、作業には危険が伴い、業者に依頼するとコストがかかる。
第2種換気方式(だいにしゅかんきほうしき)
第2種換気方式とは、24時間換気システムの中でも給気のみを機械換気で行い、排気口から排気を自然に行うシステムを指す。
換気扇などの機械によって屋外から空気を強制的に取り込んでいく。取り込まれた空気によって、屋内の空気が自然と外に押し出される。そのため、室内の気圧は屋外よりも高くなり、常に屋内に新鮮な空気が流れるため、部屋内の衛生状態を保ちやすい。その他、排気口から空気が出ていこうとするため屋内に隙間風が入り込みにくくなり、昆虫の侵入防止にもつながる。この方式は良い衛生状態を必要とする部屋に向いており、主に食品工場や病院の手術室などに多く採用されている。
第二種換気(だいにしゅきかいかんき)
第二種換気とは、給気ファンにより外気を取り込み、自然に室内の空気を排気口から外気へ排出させる換気システムのことを指す。
第二種換気が稼働中の部屋では、給気ファンから強制的に給気すると室内の気圧が高めになるため、ドアを解放しても他の部屋からの空気が流れてくるのをブロックできる。この特性を活かして、食品加工場、無菌室、手術室などに導入されている。
第二種住居地域(だいにしゅじゅうきょちいき)
第二種住居地域とは、都市計画法における用途地域のうち、主として住居の環境を保護するため定められた地域を指す。
建ぺい率は50・60・80%、容積率は100・150・200・300・400・500%の制限がある。住環境の保護を中心にすえつつも住居専用地域ではない。学校・病院などのほか10,000m2以下の一定の店舗、事務所、ホテル、50m2以下の工場などが建てられる。パチンコ屋やカラオケボックスとしての建築も可能である。